ショップには日々、多くのお客様が来店されます。多様なお客様に対して、スタッフは常に最適な接客サービスを提供しなければなりません。また、近年は外国人のお客様も増加傾向にあり、ショップで活躍するスタッフにはこれまで以上に幅広いニーズへの対応が求められています。
しかし、すべてのスタッフが高い水準のサービスを提供できるわけではなく、なかには接客技能に改善の余地があるスタッフもいます。この点、コミュニケーション能力は先天的な能力と捉えられがちですが、実際にはトレーニングを通じて後天的に高められるものです。自分の接客技能に改善の余地があると感じる場合は、積極的にトレーニングに取り組むのがよいでしょう。
この記事では、コミュニケーション能力を高めるトレーニング方法とともに、外国人のお客様に対応するときのポイントをご紹介します。
目次
コミュニケーション能力とは?
コミュニケーション能力とは、対人間の意思疎通を円滑におこなう能力のことです。コミュニケーションは双方向のやりとりであるため「相手に伝える能力」と「相手の話を聴く能力」の両方を兼ね備える必要があります。
適切なコミュニケーションは人間関係を良好にし、相手との信頼関係を構築する土台となります。社会において他者との関係を築くために必要とされるソーシャルスキル(社会的スキル)の一つであり、ビジネスはもちろん日常生活を含めたあらゆる場面で求められる能力です。
コミュニケーションの双方向性
コミュニケーション能力というと、話す能力が注目されがちです。世間的にも「話の上手な人こそ、コミュニケーション能力が高い人である」と思われている面もあります。
しかし、コミュニケーション能力を考えるうえで意識すべきは「コミュニケーションの双方向性」です。どちらかが話すだけの一方通行のやりとりはコミュニケーションとはいえません。つまり、相手に伝えることと同時に、相手からの情報を受け取ることも同じくらい重要となります。このため、コミュニケーション能力を高めるには、話す力と聴く力の両方をバランスよく高めていく必要があるのです。
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コミュニケーション能力を高めるトレーニング・話し方編
コミュニケーション能力はトレーニングを重ねることで後天的に高められるスキルです。以下では「話し方」の面から、コミュニケーション能力を高めるトレーニングをご紹介します。
10秒間の雑談
挨拶をする際に、10秒程度の雑談をします。たとえば「今日の天気」はよく使われる話題で「おはようございます」に続けて「今日は昨日よりも暑くなりそうですね」「午後から雨が降るみたいですよ」というように、挨拶だけで終わらずにちょっとした雑談を振ってみるとよいでしょう。
感謝の言葉を伝える
相手との良好な関係を築くには、些細なことでも「ありがとう」「助かりました」などの感謝の言葉を伝えることを意識しましょう。たとえば、床に落としたボールペンを拾ってもらったときや、エレベーターで誰かが「開」ボタンを押してくれたとき、自宅でパートナーが洗い物を手伝ってくれたときなど、日常生活のさまざまな場面で感謝の言葉を伝える機会があります。短い言葉ではあるものの、日々の小さな積み重ねで他者との信頼関係が構築され、自身のコミュニケーション能力も高まっていきます。
エレベータートーク
エレベータートークとは、エレベーター内で一緒になった人同士が話すくらいの短時間で、相手の印象に残るようにわかりやすく伝える練習方法をいいます。具体的には、30秒〜1分程度の時間で自分の意見を伝える練習をします。わずかな時間でも自分の話を伝え、次の機会につなげるためには「話の要点を絞り、簡潔に話すこと」がポイントです。
結論ファースト
最初に結論から話す練習方法であり「結論⇒理由」の順番に伝えます。結論ファーストで話すと、聞き手が頭の中を整理しやすく、話の内容を正確に理解してもらうことができます。また、話を「結論」と「理由」に明確に区分する必要があるため、矛盾が生じないよう筋道の通った思考をおこなう「ロジカルシンキング」(論理的思考)の訓練にもなります。
声のトーン・身振り手振り
コミュニケーションは言葉を用いたやりとりだけではありません。声のトーンや身振り手振りなど、言語以外のコミュニケーション、いわゆる「非言語コミュニケーション」に分類されるものもあります。そのときの状況や相手の様子を見ながら声のトーンや話す速度を調整したり、必要であれば身振り手振りを使って補足したりすることで、話の内容がより相手に伝わりやすくなります。
コミュニケーション能力を高めるトレーニング・聴き方編
以下では「聴き方」の面から、コミュニケーション能力を高めるトレーニングをご紹介します。
ミラーリング
ミラーリングとは、相手のしぐさや表情を鏡に映したかのように真似することをいいます。人間は自分に近似する相手に対して親近感を感じる性質があります。この性質を利用したのがミラーリングであり、会話の中で適切に用いることで相手もスムーズに話せるようになります。
バックトラッキング
バックトラッキングとは「オウム返し」を意味し、相手が話した内容をそのまま繰り返すことをいいます。具体的には「Aという出来事があった」と相手が話した場合、これに続けて「Aという出来事があったのですね」と同じように繰り返します。このような内容の反復を通じて、会話への理解を深めていきます。
パラフレーズ
パラフレーズとは「表現の言い換え」であり、相手が話した内容を別の表現で言い換えることをいいます。具体的には、相手の話を自分なりに理解したうえで「今、話された内容はこのような理解でよろしいですか?」と投げかけ、別の表現で言い換えます。パラフレーズをおこなうことで、互いの認識に齟齬(そご)がなくなり、相手の話を正しく理解することができます。
相手を観察する
聴く力を高めるためには、相手をよく観察することが必要不可欠です。ここまでご紹介した手法すべてに共通することであり、トレーニングを実践する際には相手の表情や反応を的確に読み取り、自分の対応方法を決めていくことが重要です。
外国人向けの接客ポイント
近年は海外からのお客様も増加傾向にあります。外国人のお客様と接するときにはどのような点に留意すればよいのか、接客のポイントをご紹介します。
わかりやすい言葉遣いで話す
外国人のお客様と話すときは、ゆっくりと丁寧に「です・ます」調で、平易な言葉を用いるのがポイントです。たとえば「どのような服が好きですか?」というように、わかりやすい言葉遣いで話すことを意識します。それでも言葉が通じにくい場合は身振り手振りを交えたり、場合によってはイラストを書いて説明したりするとよいでしょう。
お客様の目を見て話す
すべてにいえるわけではないものの、海外では多くの場合、会話の際に相手の目を見るのが礼儀とされています。相手の目を見ずに話をすると不誠実な印象を与えかねないため、海外のお客様を接客する際には目を見て話すことを特に意識しましょう。
レディーファーストを実践する
日本ではあまり定着していないレディーファーストも海外では一般的であり、外国人のお客様と接する際にも注意したいポイントです。たとえば、外国人の方がカップルで店舗を訪れた場合には、まず女性から案内するのがよいでしょう。
不用意に頭を下げない
来店時に明るく元気な挨拶をし、正しい姿勢で丁寧にお辞儀をすることは、外国人のお客様に対しても同様におこなうべきです。ただし、挨拶以外の接客時に不用意に頭を下げるのは避けたほうがよいでしょう。日本ではあまり気にならなくても、海外の方にとっては不自然に感じることがあり、かつ落ち着きのない印象も与えてしまいます。お辞儀や会釈は過剰にならないよう、状況に応じておこなうことが大切です。
まとめ
近年は海外からの観光客が増加し、ショップを訪れるお客様の多様化が進んでいます。接客時にも幅広いニーズへの対応が必須となり、接客をおこなうスタッフにはコミュニケーション能力の向上が求められます。
コミュニケーション能力を短期間で高めるのは難しいものの「話す力」「聴く力」を鍛えるトレーニングを通じ、中長期的にスキルアップすることは誰でも可能です。まずは自分のコミュニケーション能力を分析し、不足している力を高めるためのトレーニングを実践するとよいでしょう。今回ご紹介したトレーニングを参考に、自分に合った手法を取り入れてみてはいかがでしょうか。
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