少子高齢化が急激に進み、生産年齢人口が減りゆく日本において、サービス業界の企業はより少ないスタッフで、最大のパフォーマンスを発揮することが求められていくでしょう。
スタッフ一人ひとりの能力を最大限に発揮してもらうために、マネージャーのリーダーシップがさらに重要になることは間違いありません。
本記事では、おもにサービス業に役立つリーダーシップ論とサービス業で成果を上げるマネジメントのポイントをご紹介します。サービス業界で仕事をしたいと考えている方はぜひご参考にしてください。
目次
リーダーシップ論とは?
リーダーシップ論とは、チームが成果をあげるためにリーダーはどのような指導力や統率力を発揮するべきかを研究した理論です。
リーダーシップ論については、20世紀前半はリーダーの資質を先天的なものとみなし「特性理論」や優秀なリーダーの行動パターンを類型化する「行動理論」が主流でした。
しかし、20世紀後半からは、リーダーシップを素質や行動類型として考えるのではなく状況に応じた変化への対応として捉える「条件適合理論」「コンセプト理論」が主流となっています。また、人は自分に適したリーダーシップを後天的に身に付けられるという解釈がされるようになりました。
サービス業でリーダーシップ論が必要な理由
サービス業は労働集約型の産業なので他の業種より人による労働生産性に依存しており、昔からリーダーシップ論が重要視されてきました。
マネージャーがリーダーシップを発揮することでスタッフが意欲を持ち、成長し、チームがまとまり、売上が上がるというモデルだからです。このように、サービス業界の管理職には他業界よりも優れたリーダーシップが求められるといえます。
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現代の代表的なリーダーシップ論
代表的なリーダーシップ論を3つご紹介します。
サーバント・リーダーシップ
サーバント・リーダーシップとは、リーダーは指導的な行動だけでなくメンバーに奉仕する姿勢でサポートし、全員で目標達成を目指すというリーダーシップ論です。従来の上司が部下を導くスタイルと対照的だといえるでしょう。
サーバント・リーダーシップでは傾聴や共感を重視するため、組織のコミュニケーションが活性化するメリットがあります。一方でメンバーの自主性が重視されるため、自律的な行動ができない人が脱落してしまうデメリットがあります。
事例:
スターバックスコーヒーが知られます。「お互いに心から認め合い、誰もが自分の居場所と感じられるような文化を作る」というミッションは、お客様を大切にすると同時にチームメンバー全員がお互いに認め合うという姿勢が表れています。(参考資料:Our Mission and Values|スターバックス コーヒー ジャパン)
ポジティブ・リーダーシップ
ポジティブ・リーダーシップとは、ポジティブな人間関係を構築して意欲的に働ける組織を目指すリーダーシップです。ポジティブとは単なる楽観主義ではなく、肯定的な物事の捉え方や高い目的意識を意味し、リーダーには周囲にポジティブな刺激を与え成長を促すことが求められます。
メリットは、リーダーの前向きな姿勢がメンバー各々の強みや潜在能力を引き出すことです。デメリットは、ネガティブな思考をすべて悪と捉えるため、慎重な行動を躊躇してしまう点です。
事例:
米国の病院グリフィンホスピタルは、業績悪化に苦しんでいた際にポジティブ・リーダーシップを実践し毎日のコミュニケーションを活発におこないました。仕事の意味を見直して、お互いを尊重することで、メンバー間の対話が活性化しエンゲージメントが高まった結果、経営の立て直しに成功しました。
オーセンティック・リーダーシップ
オーセンティック・リーダーシップ論は、リーダーが価値観をベースとしてリーダーシップを発揮するスタイルです。「リーダーはこうあるべき」という固定観念はなく、リーダーには意志を表明することが奨励されます。
メリットは、リーダーの個性をいかすことでより強いリーダーシップを発揮できることです。デメリットは、リーダーが現状に満足してしまい成長意欲が高まりにくい点です。
事例:
米国の靴の通販会社ザッポス社は、クライアントに「驚嘆」を提供することをミッションとし社員に大幅に権限を委譲し「ザッポス伝説」という言葉が生まれるほどの親切なサービスを提供し、顧客から支持され成長してきました。これは創業者である前CEOトニー・シェイ氏の考え方がベースにあってこそ生まれたスタイルなので、オーセンティック・リーダーシップの成功例といえるでしょう。
サービス業で求められるリーダーシップとは?
サービス業では、リーダーにも指導的な行動だけでなくメンバーをサポートしチームで業績向上を目指す姿勢が求められます。傾聴や共感が重要な点からも、サーバント・リーダーシップは求められるリーダーシップに近いでしょう。
メンバーの個々の潜在能力が引き出せていないと感じられる場合は、ポジティブ・リーダーシップを取り入れると良いでしょう。
また、リーダーの個性とチームのメンバーとの親和性が高い場合は、リーダーの価値観を打ち出すオーセンティック・リーダーシップも適していると考えられます。
自身やメンバーに適したリーダーシップ論を参考にしてみてください。
リーダーシップを発揮するうえで必要な価値観とは?
サービス業でリーダーシップを発揮するためには、スタッフへのホスピタリティが必要となるので、以下の4つの価値観を持つことが大切です。
①相手を好き嫌いなく受容する。価値観の異なる相手でも喜んで受け入れる心の広さを持つ。
②相手と自分の双方がメリットを感じてお互いに高め合う関係を目指す。
③主体的なコミュニケーションを通じて相互に信頼性を築く。自分から積極的にコミュニケーションをとる。
④一緒に取り組むことで「場」をつくり相互理解を深める。同じ目標に向かってプロセスを共有することで絆が深まる。
成果を上げるために必要なマネジメント
サービス業のマネジメントで重要な点を解説します。
心理的安全性の担保
人間関係に問題があると、人が定着しないだけでなく生産性も低下します。心理的安全性の高い職場づくりを目指しましょう。
心理的安全性とは、質問したりミスしたことを率直に話しても、罰せられたり屈辱的な対応をとられたりしない感覚を持てる状態のことです。
お互いに悪口をいったり、相手のミスを指摘して足を引っ張り合ったりする職場では、みな萎縮して能力を十分に発揮できません。お互いが相手を肯定し、安心してチャレンジできる環境であれば、モチベーションも自ずと高まり、スタッフの能力も最大限に発揮されます。
成長意欲の具体化
人間は誰しも、成長したい、他者から認められたい欲求を持っています。しかし、サービス業の現場は多忙であり、一人ひとりを丁寧にサポートできない現実があります。
企業が、成長に応じた研修や社員が自主的に学べる自己啓発プログラムを用意するなど、組織として育成プログラムを用意することが大切です。
目標達成プロセスの共有
業務に目的意識がなく作業として取り組む場合と、目標達成を目指して取り組む場合とではパフォーマンスに大きな違いが生じます。
目標達成のための役割を分担したり、目標達成プロセスを共有したりすると、チームの中での自分の役割がわかるので、スタッフも一体感をもって仕事に取り組みやすくなるでしょう。
まとめ
サービス業では、スタッフ一人ひとりのパフォーマンスが会社の業績に直結します。日本の人口減少のスピードを考えると今後スタッフを大量採用することは難しくなります。一人ひとりの能力を最大化する必要があり、現場マネージャーのリーダーシップはますます重要になるでしょう。
また、若い社員であっても入社して後輩ができれば現場である程度のリーダーシップを発揮することが求められます。サービス業界に身を置かれる方、これから目指される方はぜひ、サーバント・リーダーシップやポジティブ・リーダーシップ、オーセンティック・リーダーシップについて学び、早い段階からリーダーシップを発揮できる人材に成長していただきたいと思います。
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