インテリアに関するお仕事に興味のある方なら、色彩についても何となく関心があるのではないでしょうか?色は不思議です。なぜか私たちは色によって元気になったり癒されたりします。
この記事では「色彩心理学」という学問をご紹介します。色彩心理学の基本を学ぶことで色が人間の心理や行動に与える影響を理解できるようになるので、ますます色についての興味が深まるでしょう。インテリアコーディネートのスキルも格段にアップしますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
色彩心理学とは
色彩心理学とは、色が人の心や行動に与える影響を研究する学問です。
私たちは無意識に色から影響を受けます。色によって食欲が出たり、気持ちが元気になったりします。あるいは落ち着いたり、自然にリラックスしたりします。そのため色彩心理学は建築やインテリアの領域では非常に重要な学問の一つです。
色についての研究の歴史は古く、古代ギリシアの時代からさまざまな研究が進められてきました。20世紀半ばからは、欧米各国で色において心拍数や体温の変化、筋肉の弛緩度合いなどの生理的な影響も研究されており、色の効果は科学的に判明しています。
色が人に与える影響
色が人に与える「心理的影響」「生理的影響」「感情的影響」「文化的影響」を解説します。
心理的影響
色は人の心理にさまざまな影響を与えます。例えば、青は集中力と創造力を促進するので、間接的に人の暗記力や認識力を高めることが期待できます。また、黄色や赤色は人を元気にさせてくれる色であり、注意力や短期記憶を高める効果が期待できます。それぞれの色の特性を活用して環境を整えることで、学習効果をアップさせることができます。
生理的影響
色は人の神経系に影響を与えます。赤は交感神経系に刺激を与え、青は逆に神経を落ち着かせる効果があります。飲食店や大衆的なレストランの看板や内装に赤がよく活用されるのは、交感神経を刺激することで食欲が増進する効果をねらってのことです。一方、青は来院者が落ち着けるよう病院の内装やファブリックなどによく用いられます。
感情的影響
色は感情にも影響を与えます。黄色やオレンジは明るい気持ち、赤はやる気や情熱を呼び起こします。青や緑は気持ちを静めてくれます。もちろん、観葉植物の緑色も同じ効果があります。
ある外資系企業では、職場に「赤の部屋」「青の部屋」がありました。従業員が活発に意見交換したいときや冷静に話し合いたいときに、各部屋を使ってメンタルを整えてもらうことが目的です。
文化的影響
色は各国によって捉え方が違います。例えば中国では「紫」は高貴な色です。日本でも中国の影響が強かった古代はそうでしたが、現代はそれほど認識されていません。
また、黒は西洋では「死」を象徴する色ですが、日本では「白」が死を象徴します。国の文化・宗教によって、同じ色がポジティブにもネガティブにも捉えられるので配慮が必要です。
色の意味と効果
一緒に働く仲間を募集しています。
インテリアコーディネートを考える際は、部屋の目的に応じて色を使いこなすことがポイントです。各色の意味と効果をご紹介します。
黄・イエロー
黄・イエローは元気や明るさを意味する色です。人の気持ちをオープンにさせる色なので「コミュニケーション色」ともいわれています。そのため販売スタッフや営業マンの制服によく用いられます。目を引く色なので注意力を高める効果もあり、信号や標識の色にも使われています。
橙・オレンジ
オレンジは暖かさや明るさを象徴します。エネルギーと活力を感じさせてくれる色であり、見た人を元気にする効果があります。オレンジ色を部屋のアクセントカラーとして使用すると、活気ある空間を作り出すことができます。
赤・レッド
赤・レッドは、強さや情熱、興奮などの意味を持つ色です。赤を見ると人は交感神経が優位になります。そのため、元気が出たり気持ちが高揚したりします。ただし、強い影響のある色なので、過度に使用せずバランスを取ることが重要です。
ピンク
ピンクは可愛さや愛情を意味する色です。人を穏やかで優しい気持ちにする効果があります。特に淡いピンク色はストレスや緊張を和らげることで知られます。実際に攻撃性を抑える効果があることも、米国の研究によって実証されています。
紫・パープル
紫・パープルは精神的な落ち着きや創造性を意味します。神秘的で高貴な印象があります。深い落ち着きが得られる色なので、インテリアのベースカラーにすると高級感のある空間に仕上がります。独自の個性を表現できる色でもあります。
茶・ブラウン
茶色は安心や温もりを意味します。そのため、日本でも西洋でもインテリアのベースカラーとしてよく活用されています。数ある色の中で、人の筋肉を弛緩させリラックスさせる効果があることも研究で実証されています。
水色
水色は冷静さや清潔さを意味する色です。水色でまとめられた空間は心を落ち着かせ、集中力を高める効果があります。また、水色は空や海を連想させるのでリフレッシュ効果もあります。狭い空間でも水色を活用すると開放感が出るでしょう。
青・ブルー
青・ブルーは誠実さや冷静さを意味する色です。水色と同じく気持ちを落ち着かせたり、集中力を高めたりする効果があります。信頼感を高める効果があるため、制服などによく使われる色です。公的機関や病院などの内装にもよく用いられます。
緑・グリーン
緑・グリーンは落ち着きや安らぎ、調和を意味します。自然の緑に囲まれるとリラックスできるように、インテリアにグリーンを活用すると癒しの空間を作ることができます。観葉植物の緑も人に安心感を与えてくれます。
白・ホワイト
白・ホワイトは、純粋さや清潔さを意味します。空間を広く見せる効果もあり、ベースカラーとして非常に適しています。白を基調とした部屋に最小限のアイテムを配置すると、上品なミニマリズムな空間に仕上がります。
黒・ブラック
黒はフォーマルさや力強さ、洗練さを連想させる色です。空間に重厚感を演出できるのでカフェやシックなレストランなどのカラーに適しています。個人宅でも黒色の家具を取り入れることで、モダンでスタイリッシュな空間を作ることができます。
灰色・グレー
灰色・グレーは中立や落ち着きを感じさせる色です。そのため、オフィスなどのように人々が長時間集中しなければいけない空間の内装に使われています。部屋をグレー基調にコーディネートすると、シンプルで洗練された空間に仕上がります。
色彩心理学に関する資格と仕事
色彩心理学のプロフェッショナルとして認定される資格と、資格取得
によって活躍できる仕事の例をご紹介します。
カラーセラピスト
カラーセラピストは、色を用いてセラピーをおこなうスペシャリストを認定する民間資格です。人はそれぞれ好きな色があります。また、そのときどきの心情によりどの色に惹かれるかが変化します。カラーセラピストは、相談者の心理を豊富な色彩の知識をもとに、色を通じて理解し、色を通じて癒していきます。心理職以外ではデザインなどの仕事に役立ちます。
カラーコーディネーター
カラーコーディネーターは、色彩が人に与える影響を活用して空間や商品、広告などをデザインするスペシャリストを認定する民間資格です。東京商工会議所が検定試験を実施しています。色彩の持つ心理的影響や生理的影響などを踏まえたカラーコーディネートの知識は、インテリア業界や広告業界、企業のマーケティング部門の仕事などに役立ちます。
色彩心理学療法士
色彩心理学療法士とは、色彩心理学を用いてクライアントの悩みにそった心理支援をおこなうスペシャリストを認定する民間資格で、3級・2級・1級があります。運営元は一般社団法人日本色彩心理学研究所です。まだ歴史が浅い資格ですが、色彩心理学についての深い知識が身につくため、心理支援業務以外のビジネス領域でも役立つでしょう。
インテリアコーディネーター
インテリアのカラーや内装・家具などの知識をもとに、空間のインテリアをコーディネートする専門家を認定する民間資格です。民間資格ですが社会に広く認知されています。活躍の場は広く、住宅メーカーや建築事務所・インテリアショップなどに就職し、オフィス・商業施設や個人宅のインテリアを手掛けることが一般的です。独立する人も珍しくありません。
まとめ
色彩心理学は、これまで何となく感じていた色の効果を理論的に理解できる学問で、学ぶといろいろな発見があり、非常に楽しい学問です。
インテリア関係の仕事につく人にとってとても役立つ知識なので、機会があれば色彩についての資格取得にチャレンジしてもよいでしょう。同じデザインの家具でも色によって空間の雰囲気も人への影響も変わります。色の知識が増えれば、さらに素敵なインテリアコーディネートができるようになるでしょう。
採用インフォメーション
北欧デンマークの家具を販売するボーコンセプトでは、現在セールスアソシエイト(販売員) およびストアマネージャー候補を募集しています。
仕事のミッションは、単に家具を販売するのではなくお客様の理想のライフスタイルの実現をお手伝いすることです。インテリアのトレンドやお客様の好みを踏まえてスタイリングを提案することも多いので、インテリアが好きな方ならきっとやりがいを持てるでしょう。色彩の知識もかなり活かせる仕事です。
インテリア関連のお仕事に関心のある方は、ぜひ募集要項ページで詳しい仕事内容などをご覧ください。未経験の方も歓迎しています。