インテリアに関するお仕事に興味のある方なら、色彩にも自然と興味を持たれているのではないでしょうか?
この記事では「色彩心理学」という学問をご紹介します。色彩心理学の基本を学ぶことで色が人間の心理や行動に与える影響を理解できるようになります。インテリアコーディネートをはじめとした、仕事のスキルも格段にアップしますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次
色彩心理学とは
色彩心理学とは、色による心や行動の影響を研究する学問です。例えば、色の影響により下記の効果があらわれます。
- ・食欲が出る
- ・集中力が上がる
- ・リラックスできる
これらの影響は部屋の色、家具の色なども関わっています。そのため、色彩心理学は建築やインテリアの領域では非常に重要な学問の一つです。
色が人に与える影響
色が人に与える影響は大きく4つに分けられます。
- ・心理的影響
- ・生理的影響
- ・感情的影響
- ・文化的影響
色の及ぼす影響が、インテリア業界でどのように関わっているのか合わせてみていきましょう。
心理的影響
下記に、人の心理に作用する色と、どのような影響が出るのか1例をあげました。
青 | 集中力が高まる |
黄色 | 元気にさせる |
勉強部屋に青、リビングに黄色など、部屋の目的に合わせて色を取り入れることで、満足度の高い空間を演出できるでしょう。
生理的影響
色は人の神経系に影響を与えます。赤は交感神経系に刺激を与え、青は逆に神経を落ち着かせる効果があります。
飲食店や大衆的なレストランの看板や内装に赤がよく活用されるのは、交感神経を刺激することで食欲が増進する効果をねらってのことです。一方、青は来院者が落ち着けるよう病院の内装やファブリックなどによく用いられます。
感情的影響
色は感情にも影響を与えます。
赤 | やる気が出る |
青 | 気分が落ち着く |
ある外資系企業では、職場に「赤の部屋」「青の部屋」がありました。従業員が活発に意見交換したいときや冷静に話し合いたいときに、各部屋を使ってメンタルを整えてもらうことが目的です。
文化的影響
色は各国によって捉え方が違います。例えば中国では「紫」は高貴な色です。日本でも中国の影響が強かった古代はそうでしたが、現代はそれほど認識されていません。
また、黒は西洋では「死」を象徴する色ですが、日本では「白」が死を象徴します。国の文化・宗教によって、同じ色がポジティブにもネガティブにも捉えられるので配慮が必要です。
色彩心理学を仕事で活かせるケース
色彩心理学が仕事で活かせるケースは下記の通りです。
- ・インテリアコーディネート
- ・子どもの心理学
- ・スポーツ用品のデザイン
インテリアコーディネート
色彩心理学を活かせるケースの1つ目が、インテリアコーディネートです。インテリアの配色や組み合わせによって、心理的作用をもたらします。
色彩を活用することで、勉強部屋なら集中できるスペース、寝室ならリラックスできるスペースなど、目的に応じたインテリアコーディネートが実現できます。
このように室内の色彩をコンセプトに合わせて計画することをインテリア業界では「カラースキーム」と呼び、洗練された空間を作るときに重要視されます。
カラースキーム(色彩計画)の基本を解説!リラックスできる部屋づくりのポイントも紹介
子どもの心理学
次に、子どもの心理学で活用できるケースです。
子どもが無意識に選ぶ色から、物事に対する捉え方の傾向や、心理状況を読み取ることができます。
こうした心理状態を参考に、子ども向け心理カウンセラーは接し方や声掛けを見直すアドバイスを行います。
スポーツ用品のデザイン
3つ目が、スポーツ用品のデザインです。スポーツと色の関係は深く、下記のような道具の色を変えることでパフォーマンスを発揮できます。
- ・ユニフォーム
- ・グローブ
- ・靴
具体的には白色のテニスウェアで清潔感と集中力を保つ、赤色のボクシンググローブを採用して選手の闘争心を高めるといった例があります。
色彩心理学に関する資格と仕事
色彩心理学に関する資格は何があるのでしょうか。順番に解説します。
カラーセラピスト
カラーセラピストは、色を用いてセラピーを行うスペシャリストを認定する民間資格です。関連する仕事は2つあります。
- ・心理学
- ・デザイン
人はそれぞれ好きな色があります。また、そのときどきの心情によりどの色に惹かれるかが変化します。カラーセラピストは、相談者の心理を豊富な色彩の知識をもとに、色を通じて理解し、色を通じて癒していきます。
カラーコーディネーター
カラーコーディネーターは、色彩が人に与える影響を活用して空間や商品、広告などをデザインするスペシャリストを認定する民間資格です。そのため、下記の業界で活かせるでしょう。
- ・インテリア業界
- ・広告業界
- ・企業のマーケティング部
東京商工会議所が検定試験を実施しています。色彩の持つ心理的影響や生理的影響などを踏まえたカラーコーディネートの知識は、現場で大いに役立つでしょう。
なお、北欧デンマークの家具を販売するボーコンセプトでは、現在販売員およびストアマネージャー候補を募集しています。色彩知識を活かし、インテリアコーディネートすることで即戦力として活躍できます。
色彩心理学療法士
色彩心理学療法士とは、色彩心理学を用いてクライアントの悩みにそった心理支援を行うスペシャリストを認定する民間資格です。
まだ歴史が浅い資格ですが、色彩心理学についての深い知識が身につくため、心理支援業務以外のビジネス領域でも役立つでしょう。
インテリアコーディネーター
インテリアのカラーや内装・家具などの知識をもとに、空間のインテリアをコーディネートする専門家を認定する民間資格です。活躍の場が広いのが特徴です。
- ・住宅メーカー
- ・建築事務所
- ・インテリアショップなど
上記の仕事を通じて、オフィス・商業施設や個人宅のインテリアを手掛けることが一般的です。空間全体の色の調和だけでなく、アクセントカラーの配置など美的センスが求められる業務で役立ちます。
下記では、アクセントカラーについて解説しています。
アクセントカラーとは?効果や選び方、インテリアに取り入れるポイントを解説
色の意味と効果
インテリアコーディネートを考える際は、部屋の目的に応じて色を使いこなすことがポイントです。色が空間にもたらす効果を下記にまとめました。
黄色 | 注目を集める |
オレンジ | 活気を与える |
赤 | 気持ちを昂らせる |
ピンク | 緊張を和らげる |
紫 | 落ち着きを与える |
茶 | 落ち着きを与える |
水色 | 解放感を与える |
青 | 集中力を高める |
緑 | 安らぎを与える |
白 | シンプルにする |
黒 | 重厚感を与える |
灰色 | 強い印象を和らげる |
各色の与える効果とその理由を具体的にご紹介します。
黄・イエロー
黄・イエローは元気や明るさを意味する色です。人の気持ちを開放させる色なので「コミュニケーション色」ともいわれています。そのため販売スタッフや営業マンの制服によく用いられます。目を引く色なので注意力を高める効果もあり、信号や標識の色にも使われています。
橙・オレンジ
オレンジは暖かさや明るさを象徴した色です。
エネルギーと活力を感じさせてくれる色であり、見た人を元気にする効果があります。オレンジ色を部屋のアクセントカラーとして使用すると、活気ある空間を作り出すことができます。
赤・レッド
赤・レッドは、強さや情熱、興奮などの意味を持つ色です。赤を見ると人は交感神経が優位になるため、元気が出たり気持ちが高揚したりします。
ただし、強い影響のある色なので、過度に使用せずバランスを取ることが重要です。
ピンク
ピンクは可愛さや愛情を意味する色です。人を穏やかで優しい気持ちにする効果があります。特に淡いピンク色はストレスや緊張を和らげることで知られています。
紫・パープル
紫・パープルは精神的な落ち着きや創造性を意味しており、神秘的で高貴な印象があります。深い落ち着きが得られる色なので、インテリアのベースカラーにすると高級感のある空間に仕上がります。
独自の個性を表現できる色でもあり、アクセントとしても活用できるでしょう。
茶・ブラウン
安心や落ち着きを与える影響のある茶色は、日本でも西洋でもインテリアのベースカラーとしてよく活用されています。数ある色の中で、人の筋肉を弛緩させリラックスさせる効果があることも研究で実証されている色です。
なお、ベースカラーは部屋全体の印象を大きく左右する重要な要素です。詳しくは下記で解説しています。
ベースカラーとは?インテリアにおける配色の基礎と色使いのコツを紹介|ボーコンセプト・ジャパン採用サイト
水色
水色は冷静さや清潔さを意味する色です。
水色でまとめられた空間は心を落ち着かせ、集中力を高める効果があります。また、水色は空や海を連想させるのでリフレッシュ効果もあります。狭い空間でも水色を活用すると開放感が出るでしょう。
青・ブルー
青・ブルーは誠実さや冷静さを意味する色です。水色と同じく気持ちを落ち着かせたり、集中力を高めたりする効果があります。信頼感を高める効果があるため、制服などによく使われる色です。公的機関や病院などの内装にもよく用いられます。
緑・グリーン
緑・グリーンは落ち着きや安らぎ、調和を意味します。自然の緑に囲まれるとリラックスできるように、インテリアにグリーンを活用すると癒しの空間を作ることができます。
観葉植物を活用した空間デザインを「バイオフィリックデザイン」と呼び、近年商業施設やオフィスで注目を集めています。インテリア業界を目指している方はぜひ下記の記事を参考にしてみてください。
バイオフィリックデザインとは?意味や取り入れる際のメリット・注意点を解説| BoConcept採用サイト
白・ホワイト
白・ホワイトは、純粋さや清潔さを意味します。空間を広く見せる効果もあり、ベースカラーとして非常に適しています。白を基調とした部屋に最小限のアイテムを配置すると、上品なミニマリズムな空間に仕上がります。
ミニマリズムとは?インテリアにおけるシンプルとの違いや取り入れ方を解説| BoConcept採用サイト
黒・ブラック
黒はフォーマルさや力強さ、洗練さを連想させる色です。空間に重厚感を演出できるのでカフェやシックなレストランなどのカラーに適しています。
個人宅でも黒色の家具を取り入れることで、モダンでスタイリッシュな空間を作ることができます。
灰色・グレー
灰色・グレーは中立や落ち着きを感じさせる色です。そのため、オフィスなどのように人々が長時間集中しなければいけない空間の内装に使われています。
部屋をグレー基調にコーディネートすると、シンプルで洗練された空間に仕上がります。
まとめ
色彩心理学は、これまで何となく感じていた色の効果を理論的に理解できる学問で、学ぶといろいろな発見があり、非常に楽しい学問です。
インテリア関係の仕事につく人にとってとても役立つ知識なので、機会があれば色彩についての資格取得にチャレンジしてもよいでしょう。同じデザインの家具でも色によって空間の雰囲気も、人への影響も変わります。色の知識が増えれば、さらに素敵なインテリアコーディネートができるようになるでしょう。
採用インフォメーション
北欧デンマークの家具を販売するボーコンセプトでは、現在セールスアソシエイト(販売員) およびストアマネージャー候補を募集しています。
仕事のミッションは、単に家具を販売するのではなくお客様の理想のライフスタイルの実現をお手伝いすることです。インテリアのトレンドやお客様の好みを踏まえてスタイリングを提案することも多いので、インテリアが好きな方ならきっとやりがいを持てるでしょう。色彩の知識もかなり活かせる仕事です。
インテリア関連のお仕事に関心のある方は、ぜひ募集要項ページで詳しい仕事内容などをご覧ください。未経験の方も歓迎しています。