われわれの仕事は、まずお客様のご要望をお伺いし、お客様が理想とされる部屋をイメージしたうえで、その空間作りをサポートすることです。単に家具を売るのではなく、ライフスタイルをデザインし、コンサルティングする仕事なのです。

カタログやインテリア雑誌に掲載された素敵な寝室。その写真を見て「このベッドをください」と来店されるお客様に対して、他の家具店では、サイズを確認して部屋に入るようであれば販売するでしょう。しかし、私たちはそうしません。「なぜそれが必要なのか」「なぜ欲しいのか」を丁寧にお伺いするところからスタートします。

当然ながらお客様の寝室は、写真とはまったく異なります。広さ、壁紙、床に敷かれたラグマット、照明……。そこにベッドをそのまま置いても、写真から得られた感動は手に入りません。「お客様が希望される雰囲気に近づけるために、カーテンも交換するのはどうでしょう」「ベッドをワンサイズ小さくすれば、抜け感が出ますよ。その分、テーブルを置いてデコレーションしませんか」と提案し、お客様にとってオンリーワンの部屋・空間を一緒に考え、作り上げていきます。

われわれは、ただ家具を買っていただくのではなく「素敵なスタイリストに出会って、いいベッドと巡り合えた、そして最高の寝室を作ることができた」とお客様に感じていただくことを目指しています。

センスよりも大切なのは、理想の空間を実現するために何が必要なのか、ロジカルに、お客様にとってわかりやすい言葉で説明できることです。「なぜ、その寝室を素敵だと感じるのか」を理解していただくための“正しく伝える話し方のテクニック”を努力して身につけることや、提案力、コミュニケーション能力こそが重要なのです。

このようなやり方ですと実際にお客様にご購入いただくまで時間はかかります。しかし、コンサルティングなしで売ることはできない、というのがボーコンセプトのポリシー。それぞれのお客様とストーリーを紡ぎあげていくことが、ボーコンセプトのスタイルです。

新しく入社されたスタッフにこうしたスタイルをしっかりと身につけていただくための、入社後の支援体制は万全です。まずはインテリアの基礎知識や接客などを学ぶオンボードトレーニングに臨んでいただきます。グローバルで提供されているe-ラーニング『ボーコンセプトアカデミー』を利用しますので、時間と場所を選ばず何度でも受講することができます。また、社内トレーニングを専門とするトレーニングマネージャーもサポートしてくれます。

その後、店舗に配属されてからは個々のキャリアや資質に合わせたトレーニングがスタートします。店舗やマネージャーによって方針は異なりますが、私が店長を務める青山本店の場合、最初はニーズの分析やメンバーシップの登録者数増、店内のデコレーションなど、販売以外の分野に従事していただきます。他にも、私をお客様に見立ててプレゼンするロールプレイングトレーニングも必ず実施します。

また私の場合、スタッフにはそれぞれの“ゴール”を設定してもらっています。5年後どうなっていたいのか。そのビジョンを実現するため、3年後あるいは1年後にはどのような能力を身につけておかなければならないのか。半年後、2か月後、1か月後を考えたときに足りないスキルは何なのか。それを磨くために必要なトレーニングは何か。目標とプロセスを共有し、ゴール到達に向けてマネジメントしていくことを心がけています。

設定する目標と達成するためのプロセス、いわばキャリアプランとしては、さまざまなものが考えられます。たとえば、本社が決めたテーマに則って店舗の展示・スタイリングを考えるインストアスタイリストは、ボーコンセプトにおける“花形”の仕事の1つです。
「全世界通じてのトップセラーを目指す」のもいいでしょう。「それであれば、まずは店舗でナンバー1にならなくちゃいけないね」と短期・中期の目標に向けて努力してもらいます。「いずれは独立したい」という希望があるなら、マネージャーや店長の経験を積めるようにサポートします。いずれにせよ、目標と達成のためのプロセスを意識した方が、“キャリアを積むための筋肉”が効果的につくのではないでしょうか。

どんな環境であれば働きやすいかをスタッフからヒアリングし、その声に応えていくことも店長・マネージャーとしての私の役割です。青山本店は、ボーコンセプトの中では“世界で一番売れる店”として知られていて、トップセラーとも呼べるSAが集まっています。そして、ボーコンセプトでは、1組のお客様の接客・販売から発注・配送まで、すべてひとりのSAが一貫して担当するスタイルを取っています。結果として業務量は多くなり、終電の時間まで働くというケースも過去には見られました。しかし、これは健全ではないと判断し、週末の営業時間をそれまでより短くしました。

またSAの負担を減らすため、販売以外の業務をサポートしてくれるメンバーもいます。そうしたサポートメンバーの多くは、実はもともとSAとしてバリバリ働いていた経験を持ち、育休のために休職していたという人たちです。SAの業務の何が大変か、どんなシーンでどのようなサポートが必要なのかを熟知していますので、現職のSAにとっても大きな助けとなっているのではないでしょうか。

サポートメンバーにも、3年後、5年後の目標を設定してもらっています。「子どもが大きくなったら、またSAとして本格復帰したい」と考える人に対しては、そこへ向かって具体的なマネジメントを考えていきます。すべてのスタッフを育て、活躍していただけるよう道筋を整えていくのが、私の仕事です。

青山本店では、SAはもちろんスタッフ同士の横のつながりが強く、ファミリー感を持って働いているのも大きな特徴です。
トップセラーが集まると対抗心が芽生えてギスギスしそうなものですが（笑）、そういう雰囲気は一切ありません。実に和やかです。「横のつながりがなければ、いまの自分はない」「チームとして働くことが自分のためにもなる」という意識をみんなが持っていて、常に「誰かのために何かを」と助け合うことで全体としての向上を目指しています。

ボーコンセプトはSAの魅力で成り立っている会社です。お客様に対するセルフブランディングを成功させ、コンサルティングを通じてお客様と信頼関係を築き、「あなたから買いたい」といっていただくことが、SAの役割です。

いま青山本店には8人のSAが在籍しているのですが、みんな個性は異なり、お客様へのアプローチ方法も人それぞれです。ただし「来店されたお客様には、最高の体験を提供しよう」という思いと姿勢は、共通のものとして持っています。単に家具を購入していただくのではなく、そのお客様だけのストーリーを紡ぎあげる。それが、次のコンサルティングや、あるいは別のお客様につながっていきます。

といいつつも、実は私自身、ボーコンセプトのスタイルに慣れるまで数か月かかりました。入社当初は、家具販売の大手チェーンで副店長まで務めた経験が、まるで生きなかったのです。提案力で売る、人の力で売るということを理解できず、もがき続けました。

やがて「過去の経験則は通用しない」「他の家具店とは考え方が違うのだ」という点に気付いてからは、視野も選択肢も広がり、自分のスキルは圧倒的に伸びたと思います。いまでは「転職して良かった」と実感する日々です。

これまでインテリア業界で働いていた人は、ひょっとすると私同様、苦労するかも知れません。まずは「これまでとは違う」と気付いていただくことが大切です。逆に、別業界から転職を志す人は、ゼロベースなので吸収力が高く、早く伸びる可能性もあるでしょう。

伸びるためには、将来のビジョンを持ってください。インテリア界のトップを目指したい、マネージャー職に就きたい、ゆくゆくは独立したい……。それらの実現に向けて学ぶ場、学ぶ期間としては、最高の環境です。

会社には期待していただいていいと思います。私は、自身の将来を考えたとき、働きながら大学院で経営学を学びたい、MBAを取得したいと決意し、しかし前職では難しかったため「業務に支障のない範囲でなら、どんどん学んでください」といってくれたボーコンセプトに転職しました。実はいまも在学中で、それくらい懐の深い会社です。

ボーコンセプトで働くにあたって必要なのは自走力です。自分で考えて仕事を進める力、自分で意思決定して行動する力がとても大切です。みなさんの「学びたい」「成長したい」気持ちをさまざまな手段で会社が全力でサポートします。家具に関する知識がゼロでも構いません。「自分を成長させたい」と考える皆さんと一緒に働きたいと思います。