近年は、多くの企業が業績に応じてインセンティブが付与される給与体系を導入しています。年収が上がりにくい時代、インセンティブ制度の充実した会社がよいと考える方も増えているでしょう。
インセンティブは実収入に関わる働き手にとって重要なテーマです。しかし、あまり公開情報がないことや、あからさまに話題にしづらい内容でもあるため、興味はあるもののインセンティブとは何か?通常の給与形態とどう違うのか?など、わからない方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、インセンティブの意味や普及した背景、メリットと意外な注意点をご紹介します。
目次
インセンティブとは?
まずインセンティブの意味と、類似する用語との違いを解説します。
意味
インセンティブという用語は「人に特定の望ましい行動を促すための刺激、誘因」を意味します。もともとの語源はラテン語の「incentivus(励ます)」に由来しています。ビジネス領域では、一般に「従業員に意欲を高めてもらうために出す報奨金や特典」を指します。
類似する他の用語との意味の違い
インセンティブに類似した用語に「モチベーション」と「歩合」があります。
モチベーション
モチベーションとは、内発的または外発的に形成される「動機付け(何かを意欲を持っておこなおうとする心理的プロセス)」です。インセンティブとは人の行動を促すための外的刺激であり、この結果形成されるのが外発的モチベーションです。
歩合
歩合とは、実績に応じて支給される一律の報酬です。「契約1件獲得ごとに〇円支給」「1件配達につき100円」といったかたちで支給され、トータルな目標達成の有無とは関係ありません。完全歩合給制、固定+歩合給制といったパターンがあります。
一方、インセンティブは特定の目標やノルマを達成することで支給される特別報酬です。「目標達成で売り上げの〇%相当の金額を支給」「成績上位者には○円の報奨金」といったかたちで、基本給与とは別な枠組みで、企業が期間・内容を柔軟に設定し支給できます。
インセンティブが普及した背景
日本企業の賃金体系は、高度経済成長期以降長きにわたって年功序列が基本でした。しかし、1990年代に入りバブル経済が崩壊すると、年功序列による賃金体系が企業にとって過大な負担となりました。
そこで、人件費の適正化を目指して導入されたのが成果主義人事制度であり、インセンティブ報酬も成果を評価する施策の一つとして導入されました。昨今は人材の流動化が激しいため、優秀な人材の採用や、年齢・年次問わずに実力のある人材の離脱を防ぐ仕組みとしても注目されています。
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インセンティブの種類
インセンティブ=報酬というイメージがあるかもしれませんが、実はさまざまな種類があります。現代は価値観の多様化が進んでいるため、従業員の価値観にあうインセンティブを用意することが大切です。
物質的インセンティブ
物質的な欲求を刺激するインセンティブです。金銭や物品による報酬が該当します。例えば、営業目標を達成した従業員への報奨金、パフォーマンスの高い従業員へのインセンティブ旅行(報奨旅行)、スタートアップ企業のストックオプションなどがあります。
評価的インセンティブ
人間が持つ、褒められたい・認められたいといった承認欲求を満たすインセンティブです。わかりやすい例では、昇進・昇格や社内の表彰があります。従業員同士が褒め合ったり少額の報酬を贈りあったりする「ピアボーナス」も、物質的インセンティブより評価的インセンティブに近いでしょう。
人的インセンティブ
社内外の人間関係に根ざしたインセンティブです。尊敬する上司や先輩がいるチームへ異動できるチャンスがあることや、取引先や会社に前向きで魅力的な人が多いことなどは、人的インセンティブに相当します。
インセンティブのメリット
インセンティブの導入には、以下のメリットがあります。
勤労意欲が向上する
成果に応じてインセンティブが付与されることは、従業員にとって自分の努力が認められたということです。頑張りが評価されたことで達成感や満足感がアップし、より一層勤労意欲も高まります。会社への帰属意識も高まるでしょう。
業績評価の公平性が担保される
インセンティブは、勤続年数や役職に関わらず客観的な基準に応じて評価される仕組みです。年齢や性別、過去のパフォーマンスに関係なく対象期間の業績に応じた報酬を得られるため、評価者の思い込みに左右されません。評価の公平性が担保されます。
インセンティブのデメリット
インセンティブを導入するデメリットとして、短期的な利益の獲得のみに重点を置く従業員が出てくるケースがあります。そのような従業員が増えると一時的に利益が上昇しても、会社の長期的な利益の底上げにはつながりません。
また、メリットで挙げた「勤労意欲が向上する」と表裏一体になりますが、高すぎるインセンティブが定常化すると、より高いインセンティブを用意しなければ従業員のモチベーションが上がりづらくなる可能性もあります。そうならないよう、適切なインセンティブ設計をすることがポイントです。
実際の事例
インセンティブを有効活用している企業事例をご紹介します。
日本生命保険相互会社
日本生命では営業職員に成果報酬制度を導入しています。基本給や賞与で安定的な給与を確保しつつ、実績に応じてさらに高い収入を目指せるシステムです。保険の販売件数に応じてインセンティブが付与されるので、これだけ頑張ればこれだけの給与が得られるという期待から、職員の意欲喚起につながっています。(参考資料:充実した給与制度 | 日本生命保険相互会社)
株式会社オンデーズ
メガネ販売事業をおこなう株式会社オンデーズは、社内通貨システム「スタパ」を導入しています。スタパは航空会社のマイレージをモデルに開発された社内通貨で、まずベースマイルが実績や勤続年数、ステージなどに応じて付与されます。さらにシステムの利用や同僚からのお礼でマイルをもらうことができ、たまったマイルは豪華景品や特別休暇と交換することができます。
「社内出稼ぎ制度」もあり、人手不足の店舗で働くと月5~15万円が支給されます。企業は人材確保がスムーズになり、社員も他店舗での経験と高額なインセンティブを得られる仕組みです。
(参考資料:PR TIMES【OWNDAYS | オンデーズ 】人手不足エリアでの応援勤務で社員の月給が50%以上UP!)
インセンティブに関連する注意点
インセンティブが支給されると収入は増えますが、インセンティブは課税対象(所得税・住民税)なので税金が上がる可能性もあります。また、社会保険は4~6月の標準報酬月額をもとに決まるので、インセンティブの発生する時期によっては社会保険料が上がることも考えられます。
インセンティブを得ても必ずしも額面どおり収入が増えるわけではないので、税金面も想定して生活を設計しましょう。
まとめ
インセンティブは、給与アップや昇進・昇格の可能性を広げる制度であり、従業員にとって有益な仕組みです。また、インセンティブは会社にとって望ましい働きに対して設定されるものなので、現在の会社がインセンティブ制度を導入しているのなら十分活用するべきです。求職中の方も、応募先の候補にインセンティブ制度が充実している会社を選定していくとよいでしょう。
採用インフォメーション
ボーコンセプトは、インセンティブを獲得できるチャンスが多い企業です。例えば、販売員(セールスアソシエイト)は、販売額に応じてコミッションが支給され、コミッション次第では年収1,000万円以上を目指すこともできます。インセンティブが充実していますので、ご興味のある方は以下の記事もぜひご覧ください。
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