新しい企業に入社すると、一般に集合研修がおこなわれ、次に職場に配属されて先輩社員や上司に指導を受けながら仕事を覚えていきます。現場に配属されてからの教育をOJTと呼び、企業の募集要項などで見たことのある方も多いでしょう。
OJTは、多くの企業でおこなわれている効果的な教育手法です。本記事では、OJTの概要やサービス業界でOJTが重要な理由、トレーナーと新人にとってのメリット、受けるときのポイントを解説していきます。
目次
OJTとは?
OJTとは「On the Job Training」の略で、新人が現場で業務を実践しながら仕事を習得していく方法です。業務を遂行するうえで必要な知識・スキルについて、トレーナーである先輩社員や上司から指導を受けます。
その反対は、OFF-JT(Off-the-Job Training)といって、現場を離れて研修を受ける方法です。
- OJT:業務を通じてスキルを身につける
- OFF-JT:研修・セミナーなどで学ぶ
OJTは、新しい仕事に必要なスキルや業界特有の知識を現場での経験を通じて学びます。
体験を通じて学んだことは記憶に定着しやすいため、短期間で人材が戦力化する教育手法であり、新入社員や中途採用のオンボーディングに欠かせません。
OJTがサービス業に欠かせない理由
OJTは、サービスや営業などお客様対応をおこなう仕事には特に重要です。
なぜなら、言語化できないノウハウがたくさんあるからです。例えば「丁寧に」といわれても人によってその感覚は異なります。また、企業によっても「丁寧に」の解釈は異なります。
笑顔や適切な言葉遣い、立ち居振る舞いなども同じです。このようなテーマは、OJTでトレーナーと一緒に仕事に取り組むことで効率的に身につけることができます。
また、サービスや営業の現場では、お客様は一人ひとり違う個性やニーズを持っているため臨機応変な対応が求められ、マニュアル通りにはいかないことがしばしばあります。マニュアルでは伝えきれないコミュニケーションノウハウを伝えるにはOJTが欠かせません。
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OJTのメリット
OJTは受ける側にも、教える側にもメリットがあります。新人は実践的な知識・ノウハウを短期間に吸収できるのでスピーディーに成長することができます。また、トレーナーになる先輩社員自身も教えることでリーダーシップを身につけることができます。
短期間でのスキルアップ
OJT教育は、先輩社員や上司について業務の流れを直接見ることができます。また、実際に業務に取り組み、具体的なタスクの遂行方法についてステップを踏んで学んでいくことができます。そのため、知識やスキルを習得するスピードが早いところが長所です。
現場で起きるいろいろなシーンを見たり、自分でも体験したりするうちに臨機応変な対応もできるようになります。体験を通じて得た知識は定着が早いため、配属してしばらくすると即戦力として活躍できるレベルになります。
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自分に合った方法で教えてもらえる
人の成長スピードはさまざまであり、飲み込みの早い人もいればスタートダッシュは遅いものの後々大きく成長する人もいます。OJTは、個人に合った目標や計画を立ててもらえるなど、きめ細やかなトレーニングを受けることができます。
トレーナーが1対1で、新人の適性や習熟度、個人の成長スピードに合わせて任せる仕事の内容や量を割り振ることが一般的です。新人は徐々にレベルの高い仕事に挑戦でき、都度フィードバックも受けられるため順調に成長していきます。
実践的な知識・ノウハウを習得できる
研修で学ぶ内容は基本的なことが中心ですが、OJTではトレーナーから直接業務に必要な知識や仕事のノウハウを教えてもらうことができます。
机上の理論ではなく実際に業務で使えるスキルや仕事の勘所などを習得できるので、効率的に仕事ができるようになります。トレーナーや他の先輩社員とのコミュニケーションを通じて社内のノウハウだけでなく、業界のトレンドや業界内での自社のポジションや商品の強み・弱みなども理解できるようになります。
コミュニケーションがとりやすい
実際の業務を通じて、上司や同僚など社内さまざまな人と接する機会を持つことができます。どこに誰がいて何をしているのかが理解できると、社内でのコミュニケーションが取りやすくなります。トレーナー以外から教えてもらうことも増えるでしょう。
組織では、ノウハウだけでなくノウフー(know-who)といって、何かを知りたいときや物事を進めたいとき、誰に聞けば最もよいかを知っているスキルも重要です。後々協力しあえる人脈を作る機会にもなります。
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トレーナーのスキルアップになる
OJTは、受ける側だけではなく、トレーナーになる先輩社員にもメリットがあります。他者に教えるためには自分の知識やノウハウを言語化する必要があるため、自分自身の業務に対する理解が深まりスキルアップするためです。
新人の仕事の進捗や成長をモニタリングし、適切なタイミングでフィードバックする必要があるため指導力も増します。また、人を指導する立場になることで視座が変わり、自然にリーダーシップが身についていきます。
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OJTの具体的なステップ
OJTは「4段階職業指導法」で実施します。この手法はもともと第一次世界大戦時の米国の軍隊で使用された人材育成フレームワークですが、ビジネス領域でも学びのステップとして活用されています。
やっている様子を見る
最初のステップは、トレーナーが実際に業務をやっているところを見ることです。最近であれば、動画で録画したものを見てもよいでしょう。まずは、見て業務の大枠を理解します。動画教材の場合は企業のお手本である振る舞いなので、何度も見ましょう。
仕事のフローを理解することももちろんですが、自分がその行動をしていることをイメージすることも大事です。イメージトレーニングのような効果もあるので、現場に立った時にスムーズに動くことができます。
業務の説明を受ける
トレーナーから業務の目的や順番、ルール、注意点について説明してもらいます。その際には「なぜやるのか?」という本質的な部分まで、業務知識・スキルについて理解を深めることが大切です。
単純にルールだからと理解するよりも、その仕事の背景やお客様にとってどのようにプラスかなど、その業務の目的を理解できることがベストです。最初の段階ですべてを詳細に覚えることは難しいのですが、本質的なことを理解すると覚えやすくなります。
実際にやってみる
トレーナーに見てもらいながら、実際に業務をおこないます。やってみることが何より大事です。最初から完璧にはできないので必要に応じてサポートしてもらうことになるかもしれませんが、やってみると説明を受けた内容が腑に落ちることも多いはずです。
また、営業やサービスの現場でお客様にアプローチするステップが難しそうと感じていても、挑戦してみると意外にできて自信がつくこともあります。一方、上手にできない点に気づくことができるなど、多くの学びがあります。
評価・アドバイスを受ける
おこなった業務に対する評価やアドバイスをもらいます。トレーナーからはよかった点と改善点がフィードバックされるので評価を把握し、改善につなげます。
OJT期間は短期間でさまざまなフィードバックをもらいます。口頭でフィードバックをもらうことも多いため、自分なりに内容を日々記録していることが望ましいでしょう。記録することによって内容を整理することができます。毎日その記録を確認し「次はこうしよう」と思うことが成長につながります。
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OJTを受ける側のポイント
OJTの期間はしっかりと返事をしたり、メモを取ったりするなど教えてもらう立場としての基本姿勢が重要です。
おそらく最初は、仕事がなかなかうまくいかず落ち込むこともあるでしょう。そのときは「できない」のではなく「知らない」だけと理解しましょう。どんな企業も独自のノウハウが存在するため、同じ業界出身であっても即座に全力を発揮するのは難しいことです。初めは積極的に質問し、疑問や不明点を解消していくことが大切です。
とはいえ、トレーナーは自分の仕事も持っています。様子を見て忙しそうなときは質問を控える、質問する内容はまとめておくなど柔軟に判断しましょう。ただし、困ったら一人で悩まず、遠慮せず相談することを心がけましょう。
まとめ
OJT教育は、それまでに先輩社員や上司が蓄積してきたノウハウ・スキルを、新人に継承してくれる貴重な期間です。研修や書籍などでは決して学べない貴重なノウハウを学ぶことができるので、謙虚な姿勢で学び、積極的にコミットしていきましょう。
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